新しい働き方や過ごし方により家時間が長くなり、暮らしへの関心が高まったこの一年 。「どのようにしたら心地よく暮らせるのか」と考えた方も多かったのではないでしょうか。インテリアスタイリストの石井佳苗さんのご自宅にレ・クリントの照明に“模様替え”させていただき、心地よい空間をつくるヒントをお聞きしました。
現在の住まいのインテリアの中で「最初に考えたのが照明」と語る石井さん。全部で9つの照明と2つのダウンライトを、シーンに応じて使い分けているといいます。照明は明るさや機能だけでなく、消灯時のシェードの美しさといったデザインも、選ぶ際におさえておきたいポイントです。
「“ひとつの部屋にひとつのあかり”ではなく、複数の照明を組み合わせて使うことで、空間に奥行き感と立体感が出て、ゆとりを感じられる空間となります。例えば、食事やお茶、おしゃべりをするダイニングテーブルを照らす光。読書をするソファ横にはフロアランプの光。ワークスペースには、手元を照らす光。家具や壁の棚を照らす光。必要な場所に必要なあかりを置いておくことで、特に夜は場所がくっきりとゾーニングされ、読書スペースやパーソナルスペースを確保することもできます。」
ダイニングテーブルに、お花を飾るように《ブーケ》を。
ダイニングはお部屋に入った時に一番目がいく場所であり、夜も目立つ場所。そこに設置したのは《ブーケ5》。テーブルの上に吊るしてみると、一見大きいかな?と思う5つのシェードのボリューム感がちょうどよく、あかるさも十分ありながら、やさしさと柔らかさを感じる照明です。
「お部屋をふんわりと明るい印象にしたかったことから、透過性のあるレ・クリントのシェードが適していました。また、素材感のあるリネンコードと、調整用の木製の留め具が自然豊かなデンマークならではといえ、照明器具の中では珍しい組み合わせですよね。」
《スノードロップ》で作る、くつろぎのスペース。
可憐でいて優雅なフロアランプ《スノードロップ》は、ひとりがけのソファの横に置き、読書タイムだけでなく、くつろぎの時間にもつけているそう。《スノードロップ》という可愛らしい花の名前の通り、細くカーブしたアームの先についているシェードは揺れるとまるで野に咲く花そのもの。このアームは前後に可動しますが、シェードは常に下を向いているので、光源をお好きな角度に調整できます。まさに機能とデザインが詰め込まれたフロアランプです。
アームが非常に細いため、窓の近くに置いても外の景色がよく見えるそう。これは新しい発見だったといいます。今はキャビネット周りに置いて、お気に入りの雑貨を飾るスペースを照らしているそうです。
省スペースなデスクランプ、《ムタチオ》。
ワークスペースには、レ・クリントの中でもモダンでメンズライクなデスクランプの《ムタチオ》をお選びいただきました。理由をお尋ねすると「自宅にあるものとのミックス感を楽しめるデザインと思ったから」との回答が。
《ムタチオ》は角度を自由に調整できる機能を備えています。直径が10cm以下のため、非常にコンパクトで場所を取らず、更に使っていない時は筒状になるので、デスク周りがすっきりとした印象になります。このようなデザイン性のおもしろさに加えて、手元をしっかり照らす機能もあるのは、照明文化が発達するデンマークならではのデザインといえるかもしれません。
デスク以外では、キャビネットやチェスト、雑貨の隙間に置いて、スポットライトの役割とインテリアのアクセントにしてもいいですね。石井佳苗さんのお気に入りの使い方として、《スノードロップ》と《ムタチオ》を一緒に置くとことで、おしゃれで良いミックス感が出るそうです。
複数の照明を置くとインテリア的にも空間がうるさくなるのでは?と心配される方もいますが、ご紹介してきた通り、照明にはそれぞれの役割があります。これまで以上に家で過ごす時間が長くなっている今、ご自身が心地よいと感じるあかりと共に、日々の暮らしをお楽しみください。
《石井佳苗さんのプロフィール》
インテリアメーカーに10年間勤務後、インテリアスタイリストとして独立。インテリアの他、衣食住のライフスタイル提案を中心に、暮らしまわりのスタリングを手がける。雑誌、広告のインテリアスタイリング、住宅メーカーのモデルルームやカタログ、VMD講師等多岐にわたる。昨年からはオンラインにてインテリア講座「Heima Home Design Lesson」を始め、国内外の受講者に向け、さまざまな角度から住まいづくりの楽しさを伝えている。
Photo by Nao Takahashi